一般的な商取引では、商品やサービスと代金を直接交換する現金取引のほかに、売り手が請求書を発行して後日代金を受け取る掛取引という手法もよく用いられますが、後者の場合、実際の代金は数週間あるいは数か月後になることもあります。ということは、当然ながら売り手にとっては入金があるまでの間、帳簿上はすでに売上が発生しているにも関わらずそのお金を使えないことになります。このような状況の中で何らかの支払いが発生した場合、企業が資金繰りに苦しむおそれがありますが、その解決策の1つとして注目されるのが、売掛金買取と呼ばれるサービスです。いわゆるつなぎ資金として活用することで、キャッシュフローを改善することができます。

商品やサービスの代金を請求してから入金があるまでの間、売り手側は売掛金と呼ばれる債権を計上しますが、売掛金買取はこの債権を第三者に有償譲渡するという資金調達法です。つまり売却代金を得ることで、支払期日前に入金があったのと同じような効果が得られるわけです。手形割引と同じように一定の手数料が差し引かれますが、売り手は得た現金をただちに諸費用の支払いなどに充てることができます。売掛金買取は融資とは異なり権利の売買を行うだけなので、たとえば直近の業績が悪化していたり、債務超過におちいっていたりしているせいで金融機関の窓口融資が受けられない、といった事情を持つ企業でも利用できます。

貸借対照表にも計上されないので、帳簿の健全性も損なわれません。