手形などの売掛金は自営業では当たり前に使われています。手持ちの現金がなくても売買取引ができる利点がある一方、期日が来るまでは現金にできない欠点もあります。自営業では急にまとまった金額の現金を用意する状況が少なくないことから、債権を現金化する売掛金買取は珍しいことではありません。売掛金買取は専門業者に手形などの債権を買い取ってもらうことですが、債権の額面よりも少ない金額になるので注意が必要です。

手数料と称して、額面の数パーセントから数十パーセントの金額が差し引かれます。金額だけを見れば売掛金買取は損な行為に思えますが、銀行からの融資を受けられない人やすぐに現金が必要な人には確実に現金が得られる、理想的な選択肢と言っても過言ではありません。必要な支払いができないと社会的な信用を大きく損ない、事態の改善も容易ではありません。このような事態を避ける意味でも、売掛金買取は自営業を円滑に営むための健全な手段として広く普及していると言えます。

売掛金買取は法律に抵触しない健全な選択肢ですが、稀にトラブルが起こる事実は無視できません。買取と偽り、実際は債権を担保にする融資だったケースがあります。また、一つの債権を複数の相手に売却する多重譲渡もよく知られているトラブルです。買取額を比較するつもりで複数の会社に問い合わせたつもりが買取依頼と誤解されたケースがあることから、相手との話し合いは入念に行う必要があります。